松田軽太の日記

企業の情シスで働いています。このブログでは読んだ本など思いつくままに書いています。

カルロス・ゴーンが改革する前の「倒産寸前の日産」が驚くほどヒドすぎた話

カルロス・ゴーン会長の逮捕は日本中に大きな衝撃的を与えるニュースでした。

 

こんにちは! 松田軽太です。

 

カルロス・ゴーン氏はその巨額の報酬を不正していたという罪に問われていますが、そもそも経営危機の日産を奇跡的にV字回復させたのがカルロス・ゴーン氏です。

 

ということで、カルロス・ゴーン氏が再生する前の日産について興味がわきました。

 

そこで「日産 その栄光と屈辱」という本を読んでみました。

 

日産その栄光と屈辱―消された歴史消せない過去

 

この本はノンフィクションとして書かれていますが、大きな流れとして日産石原俊社長と塩路一郎労組の対立という構図で描かれています。

 

著者の佐藤正明氏は長年、日経新聞で自動車業界を担当してします。日産自動車についても40年の長きに渡り取材し続けている人なのです。

 

日産には三名の天皇がいた

この本の主要な登場人物は三名です。

 

 川又会長

 塩路会長(自動車労連)

 石原俊社長

 

後にこの三名は「日産には三名の天皇がいる」とまで言われる程の大きな権力を持っていたのです。

 

まず時代背景として、1970年代は日本はモータリゼーションという大きな流れの中で自動車産業が大きく発展しようとしていた頃です。

 

そして今では考えられないくらいに労働組合が大きな力を持っていました。

 

巨大な力を持った労働組合

日産自動車も過去に大きな労働争議を経験し、川又会長が社長時代は塩路会長と強調路線で会社を運営していました。

 

塩路会長は会社の生産性を上げることで会社の業績が上がり、ひいては労働組合員の生活も向上すると考えていました。

 

そのため経営に対しても厳しい視線を向け、時には経営対しても厳しい注文をつけました。

 

なぜ労組組長の塩路氏がそれほどまでの大きな力を持っていたのかというと、日産自動車の従業員(組合員)7万人の代表であり、ストライキを起こして工場の生産を止めることも可能だったのです。

 

しかし石原俊社長時代になると、労働組合との関係性は大きく変わります。

 

打倒労働組合に燃えた石原俊社長時代

石原俊社長にしてみれば、労働組合は経営権もないくせに会社の経営に口を挟んで邪魔する厄介な存在に見えたのです。

 

塩路会長はその強大な権力で人事や新車開発や事業戦略にまで影響を及ばしたとされます。

なにしろ労組が承諾しなければ新型車を発売することさえできなかったのですから。

 

川又会長が社長時代の労資協調路線は、イケイケな性格の石原俊社長からすれば「日本を代表する自動車会社の日産経営陣が労働組合の顔色ばかりみて情けない」と見えていました。

 

そこで石原俊社長が塩路会長を失脚させるために、ありとあらゆる手段を講じたことが描写されています。

 

これらを読むと「本当に日産のような一流企業が、こんな卑劣なことを画策するのか?」とにわかには信じらないことが描かれています。

 

例えば塩路会長に関する怪文書の配布や、写真週刊誌のフライデーにスキャンダルの捏造させたとか、今では考えられないような悪質な手を次々と仕掛けた様子が描かれています。

 

ことごとく裏目に出た経営戦略

また当日の日本の自動車業界は国内シェアをトヨタ自動車日産自動車が二分していました。

 

トヨタ自動車が37%、日産自動車が30%と拮抗していたのです。

 

日産自動車の目下の国内事業の目標はトヨタ自動車からシェアを奪って日本一の自動車会社になることでした。


石原俊社長時代、日産自動車は他社に先駆けて「グローバル10」という世界シェア10という目標を掲げた国際化プロジェクトを推進します。

 

アメリカでの小型トラックの生産

アルファロメオとの小型車の共同生産

フォルクスワーゲンとの提携

・英国での自動車生産

 

現在、トランプ政権は中国と貿易で揉めていますが、この頃は日本車がアメリ自動車産業を脅かすそんなということで、日米自動車摩擦と言われていたのです。

 

そんな事情もあって、確実に儲かるアメリカでの乗用車生産ではなく、別の路を探っていたのかもしれません。

 

しかし残念ながら、これらの国際化プロジェクトはどれもこれも成功せず、赤字を垂れ流すことになりました。

 

本書の中で著者の佐藤正明氏は

「石原俊社長時代のガラクタプロジェクトが日産を破壊した」と厳しく批判しています。

 

1980年代後半から1990年代前半は、間違いなく日本車が世界一の性能を誇っていたと言えます。また日本経済もバブル経済が絶頂期で、とにかく物を作れば、作っただけ売れて儲かったのです。

 

そんな経済状況なので赤字を垂れ流す国際化プロジェクトもどうにかなっていました。

マスコミも「グローバル経営で先行する日産自動車」といったようにはやし立てるので、収益が上がらなくてもメンツがあるので退くに退けません。

 

そうこうしているうちにバブル絶頂は弾け飛び、赤字を垂れ流す国際化プロジェクトは日産自動車の経営に大きな打撃を与えました。

 

1990年代の終盤には、日産自動車はいつ倒産してもおかしくない財務状況に陥っていました。

 

日産にトドメを刺した英国進出

とくに話を拗らせたのは英国での乗用車生産でした。

 

当時、英国は失業者が300万人を越え、英国は海外からの乗用車産業の進出を希望していました。

 

しかし英国はアメリカでの販売台数の1/10にしかし残念ながら、これらの国際化プロジェクトはどれもこれも成功せず、赤字を垂れ流すことになりました。

日産自動車としては英国に乗用車生産工場を作っても大きく収益にはつながらないのです。

 

なにせ試算では10年経っても黒字化の目処が立たないのですから。

 

しかし英国政府や日本政府まで巻き込んだ大騒動になり、今更、日産自動車としても「やっはばり英国で乗用車作っても儲からないから辞めます」とは言えない状態まで追いつめまれます。

 

そんなこんなで経営はグチャグチャになり、国内シェアはトヨタ自動車を追い越すどころか30%あったシェアは25%まで落ち込み、国際化プロジェクトは赤字を垂れ流し、もはや日産自動車は借金まみれになっていました。

 

新聞などでは「日産は世界4位の自動車会社」と報道されてましたが、なんとその赤字額は2兆円を超えた巨額に膨れ上がっていたのです。

 

もはや自力再建は不可能といったところまで追い詰められた日産自動車は海外の自動車会社との提携を模索しました。

 

最後に救いの手を差しのべたルノー

まずはアメリカを代表する自動車会社であったクライスラーに打診しますが、当時のクライスラーダイムラーとの提携で手こずっており、なかなか日産自動車との提携までには漕ぎ着けませんでした。

 

次にフォードに打診しますが、フォードは日産の巨額な赤字額を知ると提携には慎重になりました。

 

当時の日産自動車の赤字は、世界中の自動車会社がドン引きするほどの赤字会社だったのです。

 

しかし、そんな日産に救いの手が差し伸べられました。

 

それがルノーだったのです。

 

当時のルノーは長らく続いた赤字をどうにか構造改革で乗り切りました。

ルノー構造改革を指揮したのが、カルロス・ゴーン氏だったのです。

 

しかし大規模なリストラを行ったため、技術者不足に陥り、再建は果たしたものの、これからの競争が激化する自動車業界で単独で勝ち続けるのは無理だと悟っていました。

 

そこで技術力には定評のある日産と提携することを望んだのです。

 

またルノーの売り上げ台数の規模は日産の1/4程度です。

かつての日産からすればルノーは格下の存在です。そこも「栄光の日産」というプライドからすれば不本意だったでしょう。

 

もはや逃げ場のない日産はルノーと提携する他に道はありません。

なんせ倒産寸前まで追い詰められているのですから。

 

当時の日産の社員は5万人で、関連企業の家族を含めると50万人が日産という企業との関係性で暮らしているのですから、日産自動車の社長の責任の重さは計り知れないものがあったでしょう。

 

カルロス・ゴーンによる奇跡的なV字回復

そして1999年にカルロス・ゴーン氏が社長に就任すると、「日産リバイバルプラン」を掲げ、4年目の2003年に日産は巨額の借金を返済し、V字回復を成し遂げました。

 

その大胆はコストカットは当時、驚きをもって新聞報道されました。

何もしがらみがないカルロス・ゴーン氏だからこそ出来たリストラだったのです。

 

カルロス・ゴーン氏は経営再建にかけては天才的な手腕を発揮する人物なのです。

 

急速に再建を果たした日産ですが、その後もリーマンショック東日本大震災いった難局を乗り越えました。

 

それらの輝かしい功績からカルロス・ゴーン氏は大きな権力を手に入れるのです。

 

そこから18年後、まさかカルロス・ゴーン氏が逮捕されるとは夢にも思わないでしょう。

 

それも有価証券報告書の虚偽記載という疑惑ですから驚きです。

 

しかし、これまでの日産自動車の歴史を振り返ってみると石原俊社長時代といい、大きな権力を持つと、私利私欲に走ってしまういう歴史を繰り返しているようです。

 

なんでそうなるのか不思議ですが。

 

いずれ今回のカルロス・ゴーン氏の事件も究明されることでしょう。

 

その時が来るのを待ちつづ、これからの日産がどのように舵取りされるのかを見守りたいと思います。

 

日産その栄光と屈辱―消された歴史消せない過去

入山章栄氏の「イノベーションの本質」を聞いて「なぜ日本の会社はイノベーションを起こせないのか?」を考えた

GAFAの大躍進以降、あちこちの会社で「我が社もイノベーションを起こせ!」と大号令がかかっているわりには何も出来ていないという会社も多いんじゃないでしょうか?



こんにちは! 松田軽太です。

 

ということで社会学者の入山章栄氏の「イノベーションの本質」というセミナーを聴いてきましたので、ブログにまとめたいと思います。

 

イノベーションを起こす目的って何?

まずイノベーションを起こす目的ってなんでしょうか?

 

これはもう「今までと同じことをしていたら、将来、事業自体がなくなる可能性が高いから」ですよね?

 

特に日本企業は高度経済成長以降「同業他社よりも良い性能で安い商品を売れば儲かる」という成功体験に慣れきっていました。

まぁ、それが今までの「勝つための王道パターン」だったのだから、そうなるのは当然ですが。

 

だから「他社よりも業界シェアを確保しろ!」といったマーケットシェアの拡大を事業目標に掲げている会社も多くありました。

 

しかし、以前に比べるとマーケットシェアにこだわる会社が減ってきています。

 

何故ならGAFAに代表するような異業種から破壊的イノベーションで攻めてこられたら、シェアが3%上がったとか5%下がったとか、みみっちい話ではなく会社そのものが存在できなくくらい、コンテンパンに負かされてしまうということが、現実に起こっているからです。

もうイナゴの大群が攻めてくるみたいに根こそぎ荒地になってしまいます。

 

例えば10年前の携帯電話業界であれば、docomoauソフトバンクがどういう商品や料金体系なのかで競えばよくて、少なくとも競争はこの3社の中でしか起こりませんでした。

 

ところが今はスマホのOSはアップルとGoogleに握れてしまい、スカイプやLINEで通話コストは無料になり、格安スマホ楽天やイオンやビッグカメラといった異業種から通信事業に沢山の企業が参入してきています。

 

今までのように同じ生態系の中で棲み分けできる世界に、ある日、突然、外来種が襲ってくるような感じです。

 

今期、2兆円の利益を出し絶好調と思われるトヨタ自動車では「いずれ自動車という商品はなくなる」という物凄い危機感を持っています。

 

10年前であれば「いずれ自動車はなくなるんだからトヨタ自動車がヤバい」なんて考えられないですよね?

 

あるいは大手都市銀行ですら、大規模なリストラを計画しています。

 

これも少し前までは考えられない話ですよね。

 

ではイノベーションを起こすために必要なのはなんでしょうか?

 

イノベーションとは異なる性質を組み合わせること

入山章栄氏は「知の探索」が必要だと言います。

 

知の探索とは、異なる2つの物を組み合わせて新しい物を作り出すことです。

 

日本の会社で有名なイノベーションといえば、世界に名だたるトヨタ生産方式でしょう。

 

トヨタ生産方式の肝となるカンバン方式のアイデアアメリカのスーパーマーケットを訪れたさいに「作業者が必要な部品を必要量だけ使えば無駄な作り置きがなくなる」という着想を得たことから始まりました。

 

つまり「自動車製造 + スーパーマーケット」という全く異なる2つを組み合わせることで生まれたイノベーションです。

 

TSUTAYAでのレンタルCDという事業の発想は、消費者金融なのです。

 

消費者金融は1000円を貸す代わりに10日で100円の利子を取ります。いわゆる十一の高利貸しです。

 

レンタルCD店は1000円で仕入れたシングルCDを3日100円で貸します。 

つまりTSUTAYAというビジネスモデルは3日で一割だから、高利貸しよりも高い利益を得られるのです。

 

ということに気が付いたTSUTAYAの社長はレンタルCDを事業化したのです。

 

このように全く異なる事業領域を組み合わせることで、新しい価値が生まれます

 

一方で多くの会社で取り組んでいるのは、イノベーションではなくカイゼンであることが多いのです。

 

カイゼンのようにその商品やサービスを磨き上げて利益率を高めることを「知の深化」といいます。

 

多くの企業では、自分たちがイノベーション(知の探求)だと思っていても、実はカイゼン(知の深化)であることが多いのです。

 

でもそれは当たり前で、自社の事業領域の中で組み合わせを繰り返しても、今まで世の中に無いものを作り出すのは、極めて難しいでしょう。

 

例えば「チャーハンにイノベーションを起こす」と考えて「これは新しい!」と思ったものが、中華丼のあんをチャーハンにかけたものだとしたら、それはイノベーションだとは感じないでしょう。ただ味のバリエーションが増えただけです。

 

と、なぜこういう発想になるのがといえば、厨房という、いつも自分が料理している中だけで、組み合わせを考えてしまうからなのです。

 

それと同じように自社の中や同じ業界の中だけで異なる商品やアイデアの組み合わせを考えても、すでに出尽くしているのです。

 

だからイノベーションではなくカイゼンになってしまうんですね。

 

しかし、とはいえイノベーションなんて、そう簡単に生まれるわけではありません。

成功したイノベーションの影には、大量の失敗事例が転がっています。

 

今でこそスティーブ・ジョブズiPodからiPhoneまで、何を出しても成功する天才的なイノベーションの達人みたいに言われていますが、実は沢山の失敗をしているのです。

 

でも、それらの失敗を多くの人は知りません。

何故なら世の中に普及しなかったから、失敗したのであって、人々に知られる機会がないのです。

 

スティーブ・ジョブズの失敗作はといえば

 

・アップルTV

iPodシャッフル

iMacのマウス

PING

 

などが挙げられます。

 

実はスティーブ・ジョブズの発明品をヒット率は1割程度ではないでしょうか? 

つまりイノベーションとは沢山の失敗作の屍の上に成り立っているのです。

 

しかし、こういうことは頭では分かっていてもなかなか出来ないですよね。

 

よくあるのが部門横断型の「新商品開発プロジェクト」とか「イノベーション開発プロジェクト」といった特命チームが発足しますが、ほとんどのそうしたプロジェクトでは、最初は「知の探索」をするのですが、数ヶ月経つと「知の深化」でお茶を濁します。

 

その大きな理由は日本企業の多くが導入している業績評価制度にあります。

 

多くの企業では半期ごとに仕事の結果を査定すますが、イノベーションのような長期に渡る開発は半年程度で成果なんかでるわけありません。

 

そもそも半年程度で簡単に成果なんか出たら世の中、イノベーションだらけになります。

誰も苦労なんてしませんよね。

 

つまり日本企業でイノベーションが生まれない大きな理由は短期で結果を求める評価制度や人事制度にあるといえます。

 

だからそれなりに結果(利益)の出せるカイゼン(イノベーションではない)でお茶を濁して終わってしまうのです。

 

世界の経営学者はいま何を考えているのか ― 知られざるビジネスの知のフロンティア

 

ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学

 

なぜ上司は部下のジャマばかりするのか? と赤羽雄二氏の著書「速さは全てを解決する ゼロ秒思考の仕事術」を読んで感じた

今回は赤羽雄二氏の著書「速さは全てを解決する ゼロ秒思考の仕事術」を読んでみました。

速さは全てを解決する---『ゼロ秒思考』の仕事術


こんにちは!松田軽太です。

 

働き方改革が進む中で必ず課題として上がるのが「日本企業の生産性の低さ」ですね。

とくにホワイトカラーといわれる事務部門はもう非効率のカタマリのように言われています。

工場の作業は生産ラインという装置があるので、作業が効率的か非効率的なのか目で見て分かります。

 

それにくらべて事務処理はパソコン上で行うので、本人以外は今、どんな作業をしているのか分かりにくいですよね。昔のように伝票を書いたり、帳簿に書いたりしていれば

なんとなくどんな作業をしているのか分かるんですが。

 

本書では仕事の生産性が低い理由を以下のように指摘しています。

 

会議が多い、長い
・会議の参加者が多い。発言しない参加者も多数
・会議での差し戻し、再審議が多い
・会議以外でも、職場でダラダラとしたおしゃべり、打ち合わせが多い
・案件ごとに膨大な書類作成が要求される。つくり直しも多い
・上司の指示が曖昧な割に期待が大きく、何度もやり直しさせられる
・この業務で何を達成すべきか目標が曖昧なことが多く、時間をかけて解決しようとする
・上司が帰るまで帰りづらい職場が多く、仕事を短時間ですませようとしない、できない
・定時という概念が弱く、それまでに仕事を終えようという意識が乏しい
サービス残業が多い。そのため、のんびり仕事をする

赤羽雄二氏の著書「速さは全てを解決する ゼロ秒思考の仕事術」より引用 

 

 

う~ん…こうして具体的に書き出すと、たくさん課題がありますね。

 

実はここで挙げられている課題って沢渡あまね氏の「仕事の問題地図」で指摘されている内容と共通点が多くあります。

 

例えばその職場の役割が明確になっていないとか、上司が部下に過度の期待をしてしまい結果として部下の作った資料に満足できずに差し戻して作り直させる、といった問題が書かれています。

 

特に「速さは全てを解決する ゼロ秒思考の仕事術」では上司のザンネンさがたくさん紹介されています。

 

そう、なぜか上司は部下のジャマをしていることが多いのです。
もちろんワザとジャマしているのであれば、ただの嫌がらせでしかありませんが、多くの上司は良かれと思ってやっていることが、結果として部下のジャマをしているのです。

 

部下の作った資料の揚げ足をとりたがる

どういうワケだか上司は部下の作った資料に不満を持つ人が多いのです。

 

実際に僕が見たことがあるのは、とある部署で企画書を書いて上司に提出したところ、それを読んだ上司は怒り狂いだしました。

 

「おい!なんだこの企画書は! 誰がこんなことを書けと言った?ちゃんと俺の言ったとおりに書け! 時間ばかりかけてこんな役に立たないもん書きやがって!もう一度書き直しだ! いいか、明日の朝までに 書き直せ!」

 

・・・と、こんな風に怒涛のようにわめき散らしていました。


こういうシーンに出くわすと、他の人が怒られているとはいえ、なんだか聞かされているこっちまで落ち込んできますよね。

 

この時点で夕方だったので、この怒られていた部下は徹夜して、書き直すことになりました。

 

なぜこんなことになったのかといえば、もとはと言えば上司が部下に曖昧な指示しかしていなかったのが原因です。

 

「こんな風に」とか「アレと同じように」とかフワフワした指示をするので、部下は想像力を駆使して書くわけです。

 

しかしテレパシーでもなければ、他人が何を考えているのかなんて分からないので、結果としてかなり的が外れた文書になるのです。

 

ではなぜ上司の指示がフワフワしているのかというと、上司自身がどういう文書にすれば良いのか具体的なビジョンを持っていないからです。

 

そのため部下の書いた文書を読むことで、自分の中の漠然として考えと摺り合わせて、合致した部分と合致しない部分を確認することになるのです。


丁寧に仕事をやりすぎない

日本人気質なのかもしれませんが、僕自身もどんな仕事でもけっこう細部にこだわって仕事をする傾向があります。

 

どんな仕事もでも丁寧に手を抜かずに作業するのが社会人だ、という風に教え込まれていました。

 

しかし、仕事というのはは全てが重要というわけではありません。

重要度が高く精度が求められる仕事もあれば、精度はそこそこで良いからスピードを速くすべき仕事もあります。

 

例えば支払い業務のように一円でも不一致があるような仕事もあれば、だいたいの大枠の見積もり金額を知りたいといった仕事もあります。

 

そのように各仕事のポイントを見誤ると、エラいことになります。

 

本書では、その例を床屋さんで説明しています。

 

ヘアカット専門店QBハウスは従来、1時間以上かかり数千円以上していた理髪店の仕事を10分で1080円、というサービスに置き換えることで大ヒットしました。

 

従来の床屋であれば顔ソリだとか洗髪だとかマッサージといった付加価値的なサービスを排除し、髪を切りたいという顧客の本質的な要求に応えるため、髪の毛をカットすることに特化したことで、時間も早くなり価格を抑えることが出来たのです。

 

もちろん世の中には時間を掛けてもフルサービスを受けたい人も居るし、そのサービスのためなら数千円くらいは惜しくない(=価値がある)という人も居ます。

そういう人は従来のフルサービスの床屋さんに行けばいいのです。

 

このように仕事というのは、時間をかけてでも質を重視すべきか、まずはスピードを重視すべきなのか見極める必要があります。


コツを掴むことで仕事は速くなる

仕事というのはこなしてナンボの部分の方が多いでしょう。


特に近年は成果主義という評価軸になりつつあります。従来のように滅私奉公して長時間、会社に拘束されることで「彼は根性がある」とか「彼は頑張っている」といった根性論での評価ではなくなりつつあります。


(まぁ、表向きには成果主義とは言いつつも、実態はどれだけ残業して頑張っているかが評価軸になっている 会社もまだまだ多いようですが)

 


こんな世の中なので、成果を上げるには仕事の数をこなすことも大切です。


では、どうすれば良いのかといえば、まずは各仕事の期限を明確にすることが大切です。

 

そして、それらの仕事をこなすには、どのくらいの時間(手間)が掛かるのかを想像で良いので試算して積み上げていくと「この仕事をこの日までに終わらせるにはどういう方法で仕事をすべきか」を考える習慣ができます。

 

できれば明確にするために「仕事の問題地図」で紹介されていた「インシデント管理表」に仕事内容や仕事の手順などを記録していくと、次に似たような仕事が来たときに、作業時間を見積もることができるようになるので、オススメです。

 

仕事を終えた際に、インシデント管理表に反省点や注意点を記録しておけば、より仕事の速度と精度をあげることもできるようになります。

 

仕事の優先順位を決めるには、重要度×緊急度で優先順位を算出することができます。


仕事を前倒しする

インシデント管理表を活用してくと、仕事の納期を難易度が把握できるようになります。


すると中にはすぐに出来るけど、ちょっと納期までに時間の余裕のある仕事があることに気がつきます。

 

そんな場合は「この仕事はすぐに出来るし、それにまだ納期に余裕もあるから、もうちょっと後にしよう」と先送りしないで、もし時間に余裕があるなら、すぐに片付けてしまいしょう。

 

その時点で作業量や作業日数に余裕があったとしても、明日になったら突発的な緊急性のある飛び込み仕事が入る可能性があります。

 

そういうことが積み重なると、余裕があるからと先送りした仕事の時間が十分にとれなくなる可能性もあります。


世の中、なにが起こるか未来のことは分からないのです。

 

そう考えると余裕があるときに、片付けられる仕事はすぐに片付けてしまいましょう。

 


PDCAサイクルを廻す場合もインシデント管理表が活躍する

よく「PDCAサイクルを廻しましょう」と言われますが、そうは言ってもなかなかPDCAを廻すって手間ですよね。

 

PDCAサイクルとは「PLAN=計画」「DO=実行」「CHECK=確認」「ACTION=行動」の頭文字をとった改善活動です。

 

実際のところ、PLANとDOはできる人は多いですが、CHECKとACTIONを行える人は少ないのではないでしょうか?

 

まずは何事もメモすることで考えがまとまり、思考や行動が可視化されます。

 

せっかく記録するならメモ書きではなく、インシデント管理表を記録しておけば、前回の反省点も把握できるので「前回は思ったよりもうまく行かなかったから、今回はこうやろう」と改善する方法を思いつきます。

 

これを繰り返していくとPDCAサイクルを廻すことになるので、徐々に仕事の精度と速度があがるようになるのです。

 

何事も記録することでの振り返りが大切なのです。


時間泥棒の会議を改善する

職場の中で最大の時間泥棒はなんといっても頻繁に開催される会議でしょう。

 

では会議の何が問題なのかを洗い出してみましょう。

 

  • 誰も発言せずに無言の時間が多い
  • 特定のおしゃべり好きな人だけが延々と話す
  • 部長や社長といった上席者が同席すると、みんな上席者の顔色を見て本音で話さない
  • 会議のテーマがあいまいで、好き勝手に話だして雑談会になる
  • そもそも何のための会議だか分からない
  • 会議とは名ばかりで実は部長や課長が決めたことを伝達するだけの会議で意見を言う隙がない
  • ぜんぜん自分が関わりの無い会議テーマなのに念のためにと言われてサッパリ分からない会議を聞かされる
  • たいていそういう会議では出番が来ることはなく時間だけが過ぎていく
  • 何も決まっていないのに、時間だけが過ぎていく
  • 拘束時間が長いことで、疲労感だけはあるので、なんだか働いたような気分になる

こんな経験は社会人であるなら誰もが一度は経験していることでしょう。

 

こういうザンネンな会議を変えるには、以下の方法が有効です。

 

  • 会議の目的を明確化する
  • 会議の資料は出席者に事前に配布しておく
  • 会議時間をあらかじめ決めておく。
  • 今まで中身の薄い2時間の会議であるなら1時間だと会議開始時に宣言する。
  • 会議の参加者は必要な人だけに絞る
  • 参加者が発言しやすい雰囲気を作る
  • 異なる意見が出たら相違点を整理する。

 

まずは意見を言いやすい環境を作るのが第一です。だって会議なんですから。

 

会議室にホワイトボードがあるのであれば、活用しない手はありません。

本書ではホワイトボードの活用方法を以下のように説明しています。

 

  • 会議リーダーがホワイトボードに発言を書き出す
  • 変にまとめようとせずに発言はそのまま書き出す
  • 意見の趣旨が分からない場合は発言者に意図を確認する
  • 趣旨を汲み取って補完して書き出す
  • 課題とアクションを整理する
  • 論点のすれ違いはその場で一致点と相違点を図示する

 

特に発言内容を文字に起こすことで、意見を客観的に見ることができます。

それによって自分とは反対の意見であっても、冷静に考えることができるようになります。

 

ホワイトボードに書き出すことで意見が見える化できることが重要なのです。

 

また出した意見に基づいて、どのような行動を「いつ」「誰が」「どのようにして」行うのかを明確に決めておくと「それは○○さんがやると思っていたのに」と誰かがやってくれるだろうという甘えや他者依存を防止することができます。

 

もちろん次回の会議では、アクションの結果を確認することも大切です。

 

もし会議室にホワイトボードが無い場合は、パソコン画面をプロジェクターに投影して
メモ書きをみんなに見えるようします。

 

もしくはA4程度の携帯できるサイズのホワイトボードも売っているので、そういうものを活用する方法もあります。

 

上司に判断が必ずしも正しいわけではない

管理職になって実務から離れた上司の場合、注意しなければならないのは上司の知識が時代遅れになっている可能性です。

 

上司もかつては若手だったので実務をバリバリとこなしていたハズです。


おそらくその部署で大きな成果を出したからこそ、管理職に抜擢されたのでしょう。

そういうかつて実務をバリバリとこなしていた上司の場合、自分が実務をこなしていた時代の知識で判断しがちです。

 

それは上司自身の成功体験なので、強烈に記憶に残っているハズですから。

しかし現代は変化の速い時代です。

 

それまで常識だったことが、すぐに昔話になってしまうことも珍しくありません。

 

例えば最近ではslackやチャットワークといったビジネスチャットが普及しています。
プライベートでもLINEを使っていれば、その便利さが分かりそうなものですが、
上司が理解できるのはメールまでだったりします。

 

電子メールが使われだして20年くらい経っていますが、今、50歳の部長が20年前は30歳です。


そのくらいの年齢であれば、新しい道具を使うのもなんとかなりますが、50歳となると
なかなか新しい道具には馴染めないことも多いでしょう。

 

なので部下と上司の常識にギャップが生まれます。

 

部下にとっては昔話にしか思えないことでも、上司の中では、つい最近だったりするのです。


しかしその「つい最近」が20年前だったりすることを部下は認識しておく必要があります。

 

上司の欠点は未来の自分の欠点だと認識する

前述したように上司の常識が古いというのは、割とよくある話です。
部下は「また昔話かよ、今は時代が違うんだけどな」とうんざりするかもしれません。

 

しかし、そのうんざりする上司の姿は未来のアナタの姿かもしれません。

 

人は常に「自分が正しい」と思い込みがちなので、自分でも気がつかないうちに老害になってしまうのです。

 

未来の自分が老害にならないように、今から柔軟性を持った考え方をできるようにしておきましょう。

 

今の知識は時代と共に陳腐化するのですから。

 

 

仕事の問題地図 ~「で、どこから変える?」進捗しない、ムリ・ムダだらけの働き方

 

 http://blog.hatena.ne.jp/matuda-kta/matuda-kta.hateblo.jp/edit#職場の問題地図 ~「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方

「仕事の問題地図」を読んで、まずは自分の仕事のやり方を改善したいと思った話

先日、沢渡あまね氏の著書「職場の問題地図」を読んで、自分の職場が問題だらけだと気がつき愕然としました。

 

こんにちは! 松田軽太です。

 

「職場の問題地図」を読むといかに自分の職場に問題あるのかということを痛切に感じさせられます。

 

問題を解決するには、まずは「問題がある」ということを認識する必要があります。
まずは問題を認識できなければ、解決するという行動をとるキッカケができませんから。

 

だがしかし!

 

いくら職場の問題に気がついたとしても、所詮、一個人だけのチカラではどうにもならないのが組織というものですよね。

 

かくゆう僕も裏ぶれた一従業員にすぎないので、いくら「この職場にはこんなに問題がある!みんなでこの問題を解決していきましょう!」をコブシを振り上げたところで「はぁ?寝言は寝てから言えや!こちとら今、忙しいんじゃ!ボケ!」と口汚い言葉で罵られるのが関の山です。

 

では、僕たちはこのまま問題を認識しつつ、何もせずに悶々と仕事をするしかないのでしょうか?

 

ということで今回は「仕事の問題地図」という本を読んでみました。

 

仕事の問題地図 ~「で、どこから変える?」進捗しない、ムリ・ムダだらけの働き方

 

今回も「職場の問題地図」同様にものすごく身近な事例を挙げてくださっていて、分かりやすく書かれています。

 

この「分かりやすい」っていう部分がものすごく大事なんです。


いくら素晴らしい内容が書かれた本であっても、読んだ側が理解できなければ、その本は存在しないのと同じです。

 

結局のところ「伝わってなんぼ」なんです。

沢渡氏の著書はそのあたりを心得ているので非常に分かりやすいのです。


では「仕事の問題地図」について書いていきます。

 

自分の仕事から改善してみる

まずは自分の仕事を改善して、働きやすくしてみたいと思ったのが「仕事の問題地図」を読んでみようと思ったキッカケでした。

 

世間では「働き方改革働き方改革」と呪文のように唱えていますが「本気で働き方を変えよう!」と思って人なんて、少なくとも僕の周りでは居なそうです。

 

というか…ほとんどの人は働き方を変えたいなんて思ってないんじゃないでしょうか?

だって、慣れた仕事のやり方を変えるって「めんどくさい」じゃないですか。


だからみんな変える気が無いんです。

 

だったら自分だけで出来ることをやって仕事のやり方を改善した方がよっぽど気が楽になります。

 

「仕事がうまくいかない」とはどういうことか?

まずは仕事がうまくいかないってどういうことかを認識することから始まります。

本書ではそれをこのように著わしています。

 

・「いつかやらなくちゃ」とは思っていて、期限を過ぎてしまった…
・計画やルールを決めても、定着しない、続かない
・「し忘れ」「やり漏れ」が常態化
・そもそも最初から終わる気がしない
・いままで勘と気合で何とかなってきたから、計画なんて立てない

 

と、この5つを読んで「あれ?これって俺じゃん」と思ったアナタ!


おめでとうございます!

自分の仕事を変えるキッカケを見つけたのですから。

 

では次になんで仕事がスムーズに片付かないのか。

 

本書ではその理由を以下のように整理しています。

「計画を立てられない」「進捗が見えない」など仕事の進め方の問題
・「期限に終えることができない」など、個人のスキルも関係する問題
・「一体感がない」「モチベーションが低い」など意識や気持ちの問題
・「誰も意見を言わない」など職場環境や意識の問題
・「やり方を知らない」「有識者がいない」など、知識の問題
・「抵抗する人、邪魔する人が多い」など、人間関係の問題
・「同じ失敗を繰り返す」「失敗から学ばない」など、組織風土の問題

 

こうして箇条書きにして書き出すと、何が問題点なのかが明確になりますね。

 

まぁ、僕にとっては耳が痛いことばかりなんですが。

 

しかし沢渡氏はそんな僕を微笑ましく見守りながらこう言ってくれます。

だって、人間だもの」と。

決して「このダメ人間め!」と責められたりしないので安心してください。

 

さて、本書の中でも僕が参考になったと感じたのは「5丁目(第5章) 期限に終わらない」です。


インシデント管理表で仕事を整理する

期限を厳守しなければならない仕事がある時に限って、緊急性のある飛び込み仕事って入ってきますよね。

 

そういう場合、飛び込み仕事もやらなくちゃいけないし、厳守すべき仕事の進捗も気になるし落ち着かないですね。

 

僕もそういうことがよくあって、精神衛生上、よくないこともありました。

 

そんな状況を変えるのに役立つ手法が「仕事の問題地図」で紹介されています。

 

それがインシデント管理表です。

 

インシデントという言葉は最近、新幹線の整備不良のニュースで使われるようになりましたが、まだあまり一般的でもないように思います。

 

インシデントとは「事故にはならなかったけど、危険だったこと」という意味です。


例えていうなら「駅で歩きスマホしていて、うっかり線路に落ちそうになったけど、
危ないところで助かった」といったことですね。

 

この場合「線路には落ちなかったので良かった」ではなく、そもそも歩きスマホが危険の原因なのでインシデントへの対策は「歩きスマホを行わない」ということになります。

 

では仕事で起こるインシデントとはなんでしょうか?

 

本書ではこのように説明されています。

 

インシデント管理とは「通常の業務を妨げる何か」だと思ってください。
たとえば突発的なオーダー、トラブル、クレーム、問い合わせなど。
いわゆる「横入り」そのもの捕らえて良いでしょう。

インシデント管理とはそのような横入り=インシデントにどう向き合うかを組織で判断し、対応を計画し
着実な実施をフォローするための取り組みです。

 

 

と、このように通常業務以外の作業への対応方法をを記録・管理することで、次に発生する似たような突発的な仕事にも素早く対応できるようにするのです。

 

表のイメージはこんな感じです。

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最初は書くのが面倒だと感じるかもしれませんが、習慣化すると、書かないと逆に落ち着かなくなります。

 

本書にあるように、このインシデント管理表に記録した内容をいずれは職場のみんなに共有できるようになるのが理想です。


しかしいきなり「みんなでインシデントを管理しよう!」と言っても「はぁ?意味わかんないんだけど」と相手にされないので、まずは少し未来の自分宛てと思ってインシデント管理表を記入していくと良いでしょう。

 

皆さんの仕事には年に2~3回くらいしかやらない作業ってありますよね?

 

年次締め処理とか半期に一度の棚卸し作業とか、そういう頻度は少ないけれど、確実に行わなければならない作業を記録しておくと「えーと、前回ってどうやったっけ?」とイヤな汗をかかずに済みます。

 

種別、依頼部署、優先度、ステータスといった入力内容が決まっている項目はリストから選択するように設定しておくと、いちいち入力する手間が省けます。

 

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特に注意しておきたいのは№2のように実際に作業する日が一ヶ月くらい先の課題です。


こういう課題はついつい忘れがちになるので、条件つき書式でセルの色をピンクにすると表をパッと見て分かるので、うっかり忘れ防止になります。

ステータスが完了や中止の案件はセルの色をグレーにしておけば、これは終わった案件だとすぐに分かります。

 

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もしくはフィルタで完了と中止は通常は表示しないという方法も余計な表示が減るので有効でしょう。

 

とまぁ、こんな感じでインシデント管理表を記録する習慣をつければ、いざという時に役立ちます。


一般向けのプロジェクトマネジメントの本

こういったインシデント管理表はIT業界では普通に使われている管理手法です。

しかしそれ以外の業種や部門ではあまり運用されていないのではないでしょうか?

 

そもそもプロジェクトマネジマントというカタカナ用語だから自分には関係ないと感じてしまうのであって「仕事の進め方」と言い表せば、すべての仕事をする人に関係する話になります。

 

そこで本書「仕事の問題地図」は一般的に仕事を進める上ので障害となる要因とその対策方法を教えてくれています。

 

たとえば上司の身勝手な期待と部下のモチベーションのギャップが仕事へのやる気を下げる理由であるとか、どこの職場にもある課題の対処法についても書かれています。

もし「自分の仕事のやり方を変えたいけど、どうやっていいのか分からない」といった人は、是非、「仕事の問題地図」と読んでみてください。

 

仕事の問題地図 ~「で、どこから変える?」進捗しない、ムリ・ムダだらけの働き方

 

 

次に「仕事の問題点は分かったけど、職場を改善方法はないだろうか?」といった人には「職場の問題地図」を読んで欲しいと思います。

 

職場の問題地図 ~「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方

 

 

「働き方の問題地図」を読んだら、日本企業の働き方がガラパゴスだと気づいた話

ここ数年、「働き方改革」についてのニュースを見ない日がないくらい、僕たちには馴染みのある言葉になりました。

 

こんにちは! 松田軽太です。

 

例えばソフトバンクでは週休3日制が導入されたり、サイボウズ社ではリモートワークが当たり前だったりと、確かに今までの働き方と比べると随分と柔軟に勤務できる会社も増えました。

 

しかし、その多くは情報サービス業に偏っているように思います。

 

例えば僕が働いている会社でも、昨年から「働き方改革を実現する」なんて会社方針が突然、掲げられました。

 

では、働き方で何か変わったのかといえば「水曜日は残業せずに早く帰れ」と総務が各部署を見回りして、会社から追い出すことくらいです。

 

勿論、その強制退社によって水曜日だけはみんな定時で帰されるので、前年対比で残業時間だけは減り、その結果として残業代が減りました。

 

総務課は「前年対比で残業代が減ったので、コストダウンと働き方改革を同時に実現した」と成果をアピールしています。

 

・・・でも、これって本当に働き方改革なのでしょうか?

 

そんなわけで僕自身が「働き方改革ってなんだろう?」と興味を持ったので、沢渡あまね氏と奥山睦氏の著書「働き方の問題地図」を読んでみることにしたのです。

 

働き方の問題地図 ~「で、どこから変える?」旧態依然の職場の常識

 

しかし、読んでみたら自分の職場が問題だらけで絶句しました。

 

まず1ページ目から衝撃的な出だしで始まります。

 

 

働き方改革」「ワークライフバランス」…そんな言葉がメディアで騒がれるようになりました。 

ずばり、あなたにお聞きします。 

あなたの働き方、変わってきましたか?

よくなってきた実感がありますか?

 

もちろん僕の答えは「NO!」です。

 

次に本書では7つの無慈悲を提示します。

 

①無慈悲なグローバル化

②無慈悲な少子高齢化

③無慈悲な家族問題

④無慈悲な育児問題

⑤無慈悲な女性活躍圧力

⑥無慈悲な雇用延長

⑦無慈悲な地球環境

 

 

これを読んで「あー、そっか!この7つの労働環境の変化に日本の職場が追いついていないんだ」と理解しました。

 

この本の素晴らしい部分は、内容が非常に平易に書かれており理解しやすい点にあります。

 

まずはグローバル化が取り上げられています。

 

これを読んだ時、正直なところグローバル化なんて楽天とかユニクロみたいな大企業だけのことで自分には無関係だと思ってました。

 

だって下町の中小企業にわざわざ外国人なんて就職しにくるわけがないし、それにベタベタの日本企業だから外国人なんて採用できるわけがないとタカをくくってました。

 

ところが僕が思っている以上に速く、労働人口は激減していくようです。

 

2013年12月時点での労働人口は7883万人ですが、2060年には4418万人にまで減少すると予想されています。働く人がほぼ半分になってしまうんです。

 

生まれてから働けるようになるまでは20年近くかかりますが、死ぬのは一瞬です。

 

ということは人が働けるようになるまで成長するよりも減るスピードの方が速いのですよね。だから労働人口はどんどん減っていくのですね。

 

問題は不足する人材をどうやって補うかですが、技術が進めばAIとロボットで補える時代も来るかもしれませんが、現時点ではそこまでは無理です。

 

そうなると現実的には外国人を雇って働いてもらうしかないわけです。

あと5年もしたら、自分のデスクの隣に外国人が座っているかもしれないですね。

 

こういう前提で本書では日本と海外を比較して働き方の常識の差を洗い出しています。

 

読んでみると「えー、こんなに違うんだ!」と驚きました。

 

日本は携帯電話だけじゃなく、働き方までガラパゴスだったんです!

 

自分の部署の役割がはっきりとは分からない

例えば管理課という部署があるとします。では、管理課の仕事ってなんでしょう?

 

「管理課なんだから、管理するのが仕事に決まってるじゃん」と思うかもしれませんね。

 

では何を管理するのでしょう。

 

「そりゃ、会社にはいろいろなことがあるから、いろんなことを管理するんでしょ」と、こんな回答になったりするんじゃないでしょうか?

 

これでは全然、具体性がないですよね? 

 

でも実際のところ、こんな感じのフワフワ感が満載の会社って多いんじゃないですか?

 

アナタは自分の職場の仕事内容を明確に答えられますか?

 

仕事についての効率的な教育がない

そもそも役割が明確ではないのだから、仕事の教え方だってないことが多いでしょう。

 

結局、先輩や前任者のやり方をトレースするだけでは、そのやり方が正しいかどうかは怪しいところです。

 

これでは効率が悪いのは当然なので、だから「日本の職場は生産性が低い」ということになってしまうんですね。

 

雨にも風にも負けずに出社

近年、災害ともいうべき異常気象が頻発しています。

 

地震、台風、洪水、火山噴火、大雪、それらの災害に影響での大停電。

 

もはや日本は災害大国ともいえます。

 

しかし、日本の会社員は台風で電車が止まりそうになったら、会社の近所のカプセルホテルに泊まったりします。

 

なぜなら明日、きちんと出社するためです。

 

でもなんでそこまでしてワザワザ出社しなければならないいでしょう?

「会社員なんだから出社するのが当たり前じゃん」と思っているんじゃないでしょうか?

 

ところが海外では出社できない状況なら、リモートワークが当たり前なのです。

 

そもそも仕事をするって「会社に行く」ことが目的なんじゃなくて「仕事をする」ことが目的ですよね。

 

辞令には絶対服従

「会社員なんだから転勤は当たり前だよね」って言われています。

だって正社員は転勤辞令を拒否できないんだから、と。

 

僕の友人で実際にこんな転勤にまつわる話を聞きました。

 

「母親が病気なり一人では病院に行けないので通院を手伝わなくてはならないので、転勤は無理です」と上司に説明したら「それは個人的な問題だ。会社とは関係ない。転勤辞令に受け入れないなら、君は解雇だ」と言われたのです。

 

友人は泣く泣く転勤を受け入れました。

 

でも「個人の問題であって、会社の問題ではない」っておかしくないですか?

 

何故なら赤の他人の家庭の事情ならまだしも、会社が雇用した社員の事情なのだから、関係ないわけないハズです。

 

そんな無茶ぶりが通用していたのも、会社が社員の人生を責任もって背負ってくれたからですよね。

 

年功序列の賃金制度で、長く在籍していれば、会社が家族の生活を保証してくれる。

 

だから子供は転校し、奥さんは仕事を辞めて、ご主人の転勤についていくのですよね。

 

しかし現在は多くの会社に賃金は年功序列から成果主義に転換し、長く在籍しているだけでは給与は増えない時代になりました。

 

そう、給与だけは成果主義になったんです。

 

では成果ってなんでしょう?

 

そもそも、その部署の仕事内容も曖昧でハッキリしていないのに、成果もクソもないですよね。

 

ましてや人の寿命は年々延びていますが、必ずしも健康ではありません。

高齢になればなるほど、身体に不具合は増えていきます。

 

ということは親の高齢化による介護は、終わりがないんですよね。

 

子供は20年くらい経てば自然に育って巣立っていきます。

しかし医療の発達により、介護する期間はより長くなっていくでしょう。

 

そしてそれはある日、突然、訪れるのです。

 

昨日まで元気だった部長のお父さんが、ある日、脳梗塞で半身麻痺になったら部長は出社できるのでしょうか?

出社できないなら、会社を辞めなければならないのでしょうか?

 

それは会社にとって有益なのでしょうか?

 

これからの日本では出社至上主義の「私生活を犠牲にしてまで頑張ってます」根性は通用しないのです。

 

だったらテレワークを導入すればいいじゃない

「出社」という場所に縛られた働き方は、そろそろ改めてもいいのではないでしょうか?

 

といったことを言うと「バカなことを言うな。俺の若い頃は何があっても出社するのが当たり前だったんだ」と言って怒り出す人もいるでしょう。

 

そりゃ通信回線の速度が遅い時代じゃテレワークなんてできなかっただけです。

しかし通信回線の高速化によって、それができるようになったんです。

 

環境の変化を理解せずに、自身の経験則でしか考えられない人からすれば、テレワークなんてもっての他ということになります。

 

副業禁止は社員のため?

副業にしても厚労省が「禁止」から一転して「解禁」に舵をきりました。

とはいっても副業を解禁した企業はまだまだ少ないです。

 

しかもその理由は「副業を解禁して、社員が副業するようになったら、社員が加重労働になってしまい身体を壊す心配があるから」でした。

 

おいおい、ちょっと待ってよ!って言いたいですよね?

 

そりゃ心配してくれるのは有り難いけど、だからといって一律で禁止しなくてもいいじゃない?

 

副業したい人は副業すればいいんだし、したくない人はどうせしないんだから。

どうして社員に選択させる自由を奪うのか?

 

これはもうドSな縛り癖があるとしか思えません。

 

気合いと根性のスポ根型労働からの脱却

今までの日本企業は残業が多いことが会社に貢献しているという評価をされがちでした。

 

それは工場ラインでの流れ作業時代の作業時間という感覚なのです。

しかし事務やサービスや営業といった仕事では生産性をいかに上げるかが大切です。

 

つまり短い時間で多く仕事を高い質で遂行することが求められます。

 

そして管理職は、仕事の環境を改善して、労働環境を整備して仕事をしやすくする必要があるのです。

 

ネチネチと部下の提案書の揚げ足をとって、嫌みを言うのが管理職ではないのです。

 

仕事の問題地図 ~「で、どこから変える?」進捗しない、ムリ・ムダだらけの働き方

職場の問題地図 ~「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方

働く人改革 イヤイヤが減って、職場が輝く! ほんとうの「働き方改革」 (できるビジネス)




 

コンビニスイーツを美味しくしたのはローソンのウチカフェだったと思う話

最近のコンビニスイーツはすごく美味しくなりましたね。

 

こんにちは! 松田軽太です。

 

僕の記憶ではコンビニスイーツがここまで美味しくなったのはローソンのウチカフェが
誕生してからだと思うのです。


画期的だったローソンのUchi Cafe SWEETS(ウチカフェスイーツ)

かれこれ7年くらい前にローソンのティラミスが本格的すぎて話題になりました。


それがキッカケで「コンビニスイーツといえばローソン」という印象があります。

この頃のコンビニスイーツって全般的に「まぁ、コンビニだからこの程度だよね」っていう程度のクオリティだったのです。

 

しかしローソンの立ち上げた「ウチカフェ」ブランドがその常識を打ち破ったのです。


ローソンのサイトに「Uchi Cafe SWEETS(ウチカフェスイーツ)」のコンセプトが書かれていました。

www.lawson.co.jp

株式会社ローソンは、オリジナルデザートの新ブランド「Uchi Cafe SWEETS(ウチカフェスイーツ)」を2009年9月29日(火)に立ち上げ、全てのオリジナルデザート(約25種類:地区により異なります)を
新ブランドに統一します。

 

ローソンのオリジナルデザートは、年間約1億5千万個販売される人気商品です。近年特に夜間(21~24時)の販売が伸びており、3年以上前年同月比を更新し続けています。

 

■20代~30代の女性に向けたデザート 
現在、ローソンのデザートを購入されるお客様の約6割が男性です。
新ブランド「Uchi Cafe SWEETS(ウチカフェスイーツ)」では、より幅広いお客さまにお楽しみいただくため、デザートへの関心が高い20代~30代の女性に向け、コンセプトや商品の開発を行いました。

 

■"おうち"をカフェにする「Uchi Cafe SWEETS(ウチカフェスイーツ)」 
ご自宅や職場で、本格的なおいしさと、カフェでのリラックスした時間を手軽にお楽しみいただきたいと考え、『いつでも、おうちがカフェになる。』をコンセプトにしています。


豊富な商品ラインナップと、統一感のあるデザイン(パッケージや店内装飾、専用のお持ち帰りバッグなど)により、ローソンの店内に小さなカフェを演出します。

 

(ローソンのニュースリリースから引用)

 

 

この頃、ローソンは巻いてないロールケーキの「プレミアムロールケーキ」を発売し大ヒットしました。

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プレミアムロールケーキを初めて見た時は「っていうか、そもそも巻いてないのにロールケーキっておかしくね?」とも思ったんですが、試しに食べてみたら、巻いてないからこそ、クリームをたっぷりと堪能できたので「ま、美味しいからいいか」とすぐに思いました。

 

そう、「美味しい」と思えれば、たいていのことは許されるんです。

 

そしてプレミアムロールケーキ以上にマチカフェが「すげー!」って思ったのは

本格的なティラミスを見つけた時でした。

当時のコンビニスイーツはティラミスにしたって、甘ったるい生地にココアパウダーをかけただけの「なんちゃってティラミス」しかありませんでした。

 

でも、それで良かったんです。だってコンビニスイーツってそういう代替品みたいな存在だったのです。本格的なスイーツが食べたければ、洋菓子店で買うというのが常識だったのですから。

 

しかしローソンのマチカフェブランドのティラミスは生地にはほろ苦いコーヒーに浸したビスケットの上にクリームチーズを敷き詰め、オトナな味わいのココアパウダーがかかったかなり本格的なティラミスです。

 

本格的すぎるティラミス

いやぁ~、あれを食べた時は驚きました。
「なにこれ?? こんな本格的なティラミスがコンビニで出来るんだ」と。

しかしもわずか210円程度で、いつでも食べられるというのは本当に驚異的でした。
思わず何度もリピートしたことを思い出します。

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確か深夜番組の「お願いランキング」で、ティラミスの製造工程を放送していました。

大量のおばちゃんが水色の手袋をつけて、流れ作業でティラミスを作っていました。

 

当時の僕はコンビニのように数線店舗もあるんだから、当然、工場でロボットアームが
自動的に作っているんだと思っていました。

 

それがまさか、おばちゃんの手作業だったのは驚きでした。

 

よく見かけるコンビニスイーツの製造元といえば、山崎製パンだったり、モンテールだったりするんですがプレミアムロールケーキにしても、ティラミスにしても、製造しているのはコスモフーズという川越にある生洋菓子工場なのです。

 

コスモフーズとは?

ということで早速、コスモフーズのサイトを見てみましょう。

www.cosmo-foods.com

平成18年に創業されたまた若い会社なのですね。従業員数は150名とのことなので、中堅メーカーなのです。


関連会社の欄に正和製菓のリンクがあるので見てみると、こちらは昭和34年創業の老舗の洋菓子メーカーでした。正和製菓は大手菓子メーカーのOEM製造を請け負っているのです。
www.showaseika.co.jp

 

社長は笠井 英毅氏が務めていますが、コスモフーズも笠井 英毅氏が務めているので、コスモフーズはコンビニ向け製品に特化した会社なのでしょう。

コスモフーズの商品一覧ページを見ると歴代のローソン・マチカフェの商品が並んでいます。

商品ページ


ウチカフェは自主マーチャンダイジングの走りだった

今でこそコンビニはプライベートブランド(PB)商品を増やしていますが、当時のPB商品は安いけど、そこそこの品質だったのです。

 

しかしローソンはウチカフェというブランドを立ち上げて、高品質化しました。
これって自主マーチャンダイジングの走りだったんだと思います。

 

つまり「ローソンでしか食べられない美味しいスイーツを自分たちで企画する」ということです。それによりお客さんはたくさんあるコンビニの中から敢えてローソンを選ぶ理由が生まれるのです。

 

ウチカフェがキッカケでローソンの熱烈なファンになった人も多いはずです。

 

ということで僕はこれからもローソンとコスモフーズの進化したスイーツに期待したいと思います。

 

この勢いでAIやロボットが進化していくと人間の仕事は消滅してしまうんじゃないの?

2018年は三大メガバンクで2万人を超える人員削減計画を発表し世間を驚かせました。

この件に限らず、最近は「もうすぐ人間の仕事の多くがAIによって奪われる」というニュースをよく見かけますね。

果たして本当にコンピューターに人間の仕事は奪われてしまうのでしょうか?

 

こんにちは! 松田軽太です。

 

ということで「AIが世界中に広がった世の中はどうなるのだろう?」と気になった矢先に鈴木貴博氏の著書「仕事消失」という本が目にとまりました。

 

仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること (講談社+α新書)


鈴木貴博氏は百年コンサルティングという会社を経営している経営コンサルタントです。そんな経歴の鈴木貴博氏が経済学という視点で、AIが普及することで世の中の「仕事」がどのように変わっていくのかを予測した本です。

 

AI関連の本というと科学者が解説することが多いですが、経済学という視点からの本は
異色だと思います。

 

ではAIが普及する世界ではどのように人間の仕事が変わっていくのでしょうか?


もし2020年代に自動運転車が実現したら?

まずAIの活用領域として挙げられるのは自動車の自動運転でしょう。
すでに日産がセレナで一部の運転を自動化した車を販売していますね。
セレナは高速道路限定での自動運転ですが、いずれAIの進化によってもっと自動運転できる範囲は広がっていくでしょう。


このように自動運転が進化した世の中では、真っ先に運転手という仕事が消失すると予測されています。


一口に運転手といってもバスやタクシーといった交通機関の運転手もいれば、トラックで配送している運転手もいます。

 

クロネコヤマトとアマゾンの対立で物流業界の壊滅的状況が話題になりましたが、現在、運送業界ではトラックの運転手が不足しています。


2020年には10万人ものドライバー不足に陥るといわれているくらいです。

と、こんな状況なので自動運転が普及することで運転手不足を補うことができるのではとの期待もあります。

 

とはいえ「運転する」ことを仕事にしているのは123万人にものぼります。
これらの人たちの仕事が一気に消失するのであれば、インパクトは大きいですよね。

 

しかし自動運転で仕事が消失するのは運転手だけに限った話ではありません。


自動運転の普及で交通事故の発生率が減れば、自動車保険の市場も必然的に縮小します。眠眠打破のような眠気覚ましも需要が減るだろうし、ドライバーを常連客としていたコンビニや定食屋やラーメン屋などの小売業や外食産業にも大きな影響をあたえるでしょう。

 

「運転手」という職業が無くなることで、それに併せて周辺の産業も道ずれになって一緒に市場が縮小するか最悪の場合は消失してしまうのです。


多くの産業が危機に瀕している割に深刻化していないワケ

進化したAIは人間の判断能力を上回るのは時間の問題だと言われています。
シンギュラリティという言葉を聞いたことはありますか?

 

簡単に言うと、シンギュラリティとは「AIが人間の能力を凌駕する時期」のことを言います。


その時期は2045年だといわれていますが、最近では予想以上にAIの進化するスピードが速いのでもっと前倒しになるのではないかといわれています。


いずれにせよあと20年~30年の間に人間の仕事の多くがAIに置き換わるとしたら、大量の失業者が発生するのでこれはもう大変な事態になります。

 

「まだ20年も先でしょ?」なんて思うかもしれませんが、過ぎてしまえば20年なんてあっという間ですよ?

 

多くの人が「そうはいってもAIなんてまだまだ人間の仕事を取り上げるにはほど遠いじゃないか」と思うかもしれません。


例えばスマホに搭載されているAIに向かって「OK Google。営業所別の売上を集計して」と言っても集計してくれません。だから「まだまだ先の遠い未来の話」だと感じてしまうのです。

 

でも20年後であれば、事情が変わっている可能性があります。

 

過去にもそのように油断することで時代に取り残されて消えていった産業は多くあります。


例えばデジカメの普及でカメラはフィルムの市場は跡形もありませんよね。

iTunesの登場でイギリスの大手音楽CDショップのHMVは1921年創業の老舗ですが、2013年に倒産しました。

日本の例で言えばiPodの登場でソニーのMDもなくなりました。


携帯電話にいたっては、スマホの登場からわずか数年で壊滅的になりました。

いずれの産業で共通するのは「まぁ、そうは言ってもそう簡単に我が社の製品はなくならないよ」という根拠の無い楽観だったのです。

 

しかし破壊的イノベーションは、進みだすとトンでもない速さで既存の市場を喰い荒らします。そしてそれに気がついた時には手遅れとなるのです。


ロボットよりもAIが先に職場を奪っていく

人間の仕事を奪っていくのはAIとロボットですが、その進化はAIの方が早いのです。


自動車工場などの製造業では既にロボットが導入されていますが、今はまだ、製造ラインの一部分の担っています。
単機能なので、人間のように足で歩いて移動して、手で細かな作業する汎用性はありません。

 

AIとロボットが進化していく過程は足(移動)、脳(AI)、腕(作業)、顔(表情、感情)、指の順序だと言われています。難易度の低い順に進化していくのですが、一番複雑なのは指なのです。

 

確かに指ってものすごく繊細なことができますよね。
針穴に糸を通したり、玉子の殻だけを割って黄身の取り出したり、米粒に絵を描いたりと何でもできます。


単機能の専用ロボットは出来るでしょうが、一つのロボットでこれだけ多彩なことをできるようにするのは確かに難しそうです。

 

足の部分ですが、自動車の自動運転もそうだし、工場や倉庫の中ではフォークリフトや荷台のような運搬用の機械も自動化されるでしょう。

 

そして次の脳ですが、AIの進化はさらに加速しています。

 

実際、ソフトバンク孫正義氏は「AIの世界の元締め」を目指して10兆円にも及ぶ巨額の投資を世界中で行っています。

 

オックスフォード大学のオズボーン教授が「消えてなくなる職業」の一覧を発表したのは2013年です。

 

AIが囲碁の名人に勝利したのは2015年です。

 

これ以降、深層学習(ディープラーニング)が脚光を浴びたので、現在はオズボーン教授の想定よりも速い勢いで仕事がAIやロボットに奪われていくと考えられています。

 

皆さんの実際の職場でもITが仕事を奪ったのでないでしょうか?

 

20年以上前のテレビドラマでは、OLの仕事といえばコピーとお茶汲みのシーンがよく描かれていました。


でも今やそんな職場も少ないですよね?

 

会議資料はパワポで作ってプロジェクターで投影されるので、何十枚もコピーをする必要はなくなりました。

 

昭和の頃は商品台帳に入庫・出庫・残数みたいな記録を手書きして在庫管理していましたが、現在は在庫管理システムが導入されて手書きの帳簿も不要になったし、小さな会社でもExcelでそういった管理をするようになっていますよね?

 

これらのIT化で間接部門の人員は減っているので、それと同じようにAIが進化すると、もっと広い範囲の職場で人の代わりにAIが入り込んでくるのです。

 

実際、最近ではRPA(アール・ピー・エー)という事務処理ソフトウェアを多くの企業が導入しようとしています。

 

RPAとはロボティクス・プロセス・オートメーションの略ですが、要するに事務処理を代行するロボットです。

 

実はRPA自体は数年前から海外では導入されていました。


しかし日本では正社員は解雇できないので、やみくものRPAを導入して事務作業を無くてしまうと社員の仕事が減ってしまうので、躊躇されていました。

 

しかし、近年、日本は人手不足が深刻化しており、そこでRPAが脚光を浴びるようになったのです。


こういうものは一度、便利さを理解してしまうと、導入がどんどん進んでいきます。


Excelで自動計算している職場で、今さら電卓を叩いて計算する人はいませんよね?

ということで経理や営業事務といった内勤の事務作業という仕事がRPAというソフトウェアのロボットに置き換えられてしまうでしょう。

 

しかしRPAはAIと違って自分で仕事を考えて処理することはできません。


今のところは人間が処理手順をプログラムして、それを正確に再現するだけなのです。

 

しかし深層学習(ディープ・ラーニング)という自己学習の手段を得たAIは、いずれ自分で仕事の内容を理解して最善の仕事の方法を考案するようになるでしょう。

 

そういう時代がくると銀行や保険会社や税理士といった肉体的な作業を伴わない仕事がAIに奪われるのです。

 

小説家や映画監督や音楽家や画家といった芸術系の職業もAIができるようになるでしょう。


膨大な音楽のパターンを解析して、感動する音楽を作ることはすでに実現しています。

 

これだけCGが発達すれば、もはや俳優もCGに置き換えることは可能でしょう。

そしてAIが俳優のように演技するのです。


それに俳優やアイドルがCGに代替されれば、セクハラやらドラッグといった不祥事でCM契約が吹っ飛ぶ心配もなくなるでしょう。

 

もちろん、鈴木貴博氏は経営コンサルタントが本業なので、この予測通りにAIが進化するかは分かりません。


実際にAIを開発している開発者からすれば「まだまだ現在のAIではそこまで出来ないよ。完全自動運転だってせいぜい高速道路が限度だ」と思うかもしれませんが、鈴木貴博氏が危惧しているのは、時期の問題ではなく「いずれこういう時代が来る可能性が高いから今から検討すべき」ということなのです。

 


AIやロボットに人間は仕事を奪われたら、新しい仕事に就けばいいのか?

正直なところ、人間の仕事がAIやロボットに奪われるという事態は避けれらないと思われます。


そりゃ、AIは風邪をひいて休むことのなければ、残業したくないから帰るともいわないし、見積書の金額を一桁間違えて書くこともないのですから、経営者としては人間よりも扱いやすいでしょう。

 

ひとつの産業がなくなっても、新しい産業が生まれるので、人は新しい仕事に就くことができると言います。「なるほど、そうだよね」と思っていましたが、そこにはタイムラグがあることを忘れがちです。


かつて農地が羊毛のために牧場に代替されると農夫は職を失いましたが、それらの人々は毛織物職人になったといわれていますが、その移行にかかった期間は数十年だったのです。

 

自動運転の普及で職を失ったドライバーやAIで職を失った事務員が、すぐに新しいジャンルの仕事に就けるかというとそんなワケはないのです。


AIで仕事を失った事務員や運転手の中には、AIをプログラミングする仕事に転職する人も居るでしょうがそれは一握りのこういう時代の流れを予測して事前に準備をしていた人に限られるでしょう。


ロボットを規制することはできないか?

このままAIとロボットが職場を奪ってしまうと暗澹たる未来が来るしかないなのですが、鈴木貴博氏はそのための対策を提示しています。

 

それは「ロボット経済三原則」というものです。

 

原則1:すべてのAI/ロボットの利用権を国有化する。

原則2:AI/ロボットの産業利用に対しては、その働きが人間何人分かを計測し、その仕事に応じた賃金を国に支払う。ただしAI/ロボットの家庭利用/私的利用については、特に賃金を支払う必要はない。

原則3:AI/ロボットに支払われた給料はそのまま国民に配分する。

 

鈴木貴博著:仕事消失(講談社+α文庫より引用)

 

 

この内容がこの本の大きな結論になります。


ネタバレになるので敢えて詳しくは書きませんが、簡単に言えば「ロボットに税金かけて徴収して国民に配れば公平になるんじゃね?」というものです。

 

2017年にマイクロソフトビル・ゲイツの同じようなことを言っているので、あながち的外れではないのでしょう。

 

日経ビジネスでもビル・ゲイツ氏の意見が取り上げられています。

business.nikkeibp.co.jp

 

鈴木貴博氏の解説では自動車がロボットへの課税に近いと言います。

 

現在も自動車は個人がお金を出して買って所有していますが、道路で走らせるためには車検だとか自動車税とかガソリン税だとか維持しているだけで何かと税金が掛かります。


同じように考えればAIやロボットにも税金をかけることが可能だろうというものです。

まぁ、確かに言われてみれば、自動車以外にも買ったあとでも税金のかかるものといえば家なんかそうですよね。

 

もちろん実施するには、それ相応の議論が噴出するんでしょうけど。

 

いずれにせよ考えればいくつかの解決策はあるのかもしれませんが、何しろAIやロボットは進化が早いので手遅れになる前にみんなで考えるべきなのでしょう。

 

人類総失業時代が訪れるその前に。

 

この本の初稿というべき本に「シンギュラリティの経済学」があります。
興味がある方はこちらもどうぞ。


「シンギュラリティの経済学」では本書では書かれていない課題についても検討されています。

 

シンギュラリティの経済学 (百年出版)