松田軽太の日記

企業の情シスで働いています。このブログでは読んだ本など思いつくままに書いています。

会社で使うコンピューターシステムの開発が5割も失敗している根本的な理由

会社で使うコンピューターシステムの開発の半数がまともに機能せずに失敗しているって知ってましたか?

 

こんにちは!松田軽太です。

 

それなりな規模の会社であれば、発注管理とか請求管理とか在庫管理など、何らかの情報システムを運用していると思います。

しかしそれらの情報システムを再構築するプロジェクトの5割近くがトラブルに見舞われてるというのを知っている人はあまり居ないのではないでしょうか?

 

日経BP社が発行している「日経コンピューター」には「動かないコンピューター」というコーナーがあり、毎月、情報システムでの事故が掲載されています。

昨今はAIだのディープラーニングだのIotだのとニュースの中では最新ICT技術が話題になりますが、自分の会社の身近な情報システムはトラブル案件が多いのです。

 

実際、日経コンピュータの2018年4月26日号には「システム開発プロジェクトの5割が失敗」という特集記事は組まれています。

 

では何故、仕事を正確に便利に運用するための情報システムの構築で、そんなにトラブルが続くのでしょうか?

 

それらの多くの原因は要件定義が甘いことが原因です。



どんなシステムを作れば良いのかを詰めきれないままシステム開発が進み、いざ使ってみたら「アレが出来ない」「コレが出来ない」と大騒ぎが始まります。

 

特にERPパッケージの普及により、会社の中にシステム開発の経験者が居なくなってしまったため、そもそもシステム設計の方法を知っている人が社内に居ないという会社も増えています。

 

そうすると当然ながら自社だけで業務システムを開発することは出来ないので、ITシステム開発会社に作ってもらうことになります。

 

しかしシステム設計したことはない人たちが集まって、システム開発会社と一緒に要件定義をするので、必然的に要件の漏れも増えていきます。

 

特に会社の中の仕事の多くは毎日作業している人からすれば「当たり前」ですが、それ故に暗黙知となり要件漏れになることがままあります。

 

よく漏れやすいのが数年に一回くらいある作業です。

 

作業者からすればほとんどやらない仕事ですが、システム開発からすれば、数年に一回であっても、やらなければならない作業なら、機能として開発しなくてはならないのです。

ということで、企業の基幹システム再構築で重要なのは一番最初の要件定義という作業なのです。

 

とはいえ要件定義という言葉自体、あまり馴染みがないかと思います。

「要件定義って何のこと?」という人も多いでしょう。

 

料理に例えてみると分かりやすいかもしれません。

 

例えば晩御飯にカレーが食べたいとします。

しかし家にはカレーを作り方が分かる人が誰も居なかったとします。

そこでカレーを作れる調理士に自宅に来てもらいました。

 

アタナ「今日はカレーが食べたいので作ってください」

調理士「カレーですね。分かりました。ではどんなカレーが食べたいですか?」

 

アナタ「う~ん、そうだなぁ~。美味しいカレーを作ってくれ」

調理士「美味しいカレーですか・・・。それってどういうカレーですか?」

 

アナタ「どういうって、普通のカレーだよ。ほら、いつも食べてるあのカレーだってば」

調理士「・・・・」

 

アナタ「まぁ、細かいことは良いから、とにかく美味しいカレーを作ってくれればいいから」

調理士「分かりました。では美味しいカレーを作りますね」

 

・・・さて、上記のような禅問答のような不毛な会話から、果たしてアナタの望む美味しいカレーが出来上がるでしょうか?

この会話で調理士はアナタのいう「いつも食べてる美味しいカレー」がイメージできるでしょうか?

 

カレーといってもいくつも種類があります。ビーフカレーなのかチキンカレーなのかキーマカレーなのかグリーンカレーなのか。

 

「いつも食べてる美味しいカレー」が分からない調理士は、無難にビーフカレーを作ってとして、アナタが思い描いていたカレーがチキンカレーだったら、きっとこう不満を言うでしょう。

 

アナタ「あれ?この肉、なんでビーフなの?僕が食べてるカレーはキチンなんだけどな」

調理士「だったら最初にキチンカレーと言ってくださよ」

 

アナタ「だって僕がいつも食べてるのはキチンカレーだって知ってるでしょ? 知らないなら先に聞いてくれればいいのに」

調理士「分かりました。ではキチンカレーを作り直します。その代わりに材料費と調理代をください」

 

アナタ「何言ってるんだよ。間違えてキチンカレーを作ったのはそっちだろ。それなのになんで僕が材料費まで払わないといけないんだ!」

 

・・・と泥沼の言い合いが始まります。

驚いたことに、こういう不毛な言い合いが企業情報システムの開発では頻発しているのです。

 

ではどうすれば、こういう誰も幸せにならない事故を回避できるのでしょうか?

まず社内に「情報システムってどういうものなのか?」を理解できる人材を確保することです。

つまり「こんなシステムを作りたい」という設計図までは自前で作れるようになるべきなのです。

 

「そんな人材が居ないからシステム開発会社に依頼するんじゃないか」と反論する人もいるでしょう。

 

しかし、先ほどのキチンカレーの例のように出来上がったシステムが思ったモノと違っていても、そこから更に改造するにも費用が掛かるのです。

 

いろいろな事例を聞きますが、5億円の予算でシステム再構築をするつもりが、要件漏れで手戻りが多く、結果として倍近くの金額まで膨れ上がったという事故案件は枚挙に暇がありません。

 

これはシステム開発だけに限りませんが自分が必要な物は自分にしか分かりません。

「自分はどういう目的のために、こんなモノを欲しい」ということを伝えることができるように、普段から心がけておいた方がいいのです。

 

 

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動かないコンピューター ― 情報システムに見る失敗の研究

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